夢工場ラムレス
3年前に見た夢を今でも鮮明に覚えている。
母が他界してから、1年と半年が過ぎた冬の午前6時。何枚もの病棟の写真が脳裏を駆け巡るような夢だった。目が覚めた私の頬は濡れていた。あんなに息苦しい目覚めは後にも先にもあの日だけだった。
あの日、私は人生で初めて仮病を使った。
きっとあの日の私の夢には、夢工場のなかで過去と悲しみの要素が入っていたのだろう。もしかすると、青い扉も隠されていたのかもしれない。
夢工場ラムレス
そこでは夢の修正をしてくれる。しかし、そこへは夢のなかからしか行くことができない。つまり明晰夢を見る者だけが辿り着ける。
ある者は大切な人を守るため、ある者はこの世にはもういない大好きな人に会いに行くため、私欲のために利用しようとする者もいた。
それぞれが悩みや苦しみを乗り越えるために、夢工場に迷い込んでくる。
夢と現実は、遠いようで互いに作用し合っているらしい。
悪夢は現実でも人を不安にさせ、都合の良い夢ばかり見るようになれば、現実でつらいことが続いたとき、夢に逃げるようになる。
夢も現実も、バランスが重要だ。
もしも現実のバランスが崩れたら、夢の中で探してみるといいだろう。
ラムレスへ通ずる青い扉を。